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書道の上達法~体の姿勢と心の姿勢~

書を楽しむ

(体の姿勢)

 

前に座り、生徒様たちが書いていらっしゃる姿を拝見したとき、姿勢がよく見えます。

  

上手に書かなければという真面目な方が多いからか

筆を持つ手や腕や肩に力が入りすぎている方が多いようです。

 

 


体が傾いている、足を少し組まれている、右肩が上がっている、左肘が机上についているなどの方も。学生部の低学年位までの方は、机が高いと書く方の腕の肘も机についてしまうことも多いため、高さを調節します。

 

両脇と体、ご自身と机との距離を握りこぶし位は開けたほうがよいです。可動域を広く、高い目線で作品を見ながら書くと良いです。

 

体の姿勢はまっすぐ正しく、リラックスして余計な力を入れないことが必要です。

 

私も師からご指摘いただいたことですが、体を揺らして書け、と。

揺らすというのは、体全体は余計な力を入れず、腕や手首の形は固定した状態ですが、上半身は書いている時に適度に動き揺れていること。

 

 

特に、長めの送筆は書きやすくなるはずで点画をのびやかに書くことができます。 

(心の姿勢)

 

心の方は、第一には書道が好きか、自然に楽しいと感じられているかが大切です。

それから、手本を良く見て習っているか。

 

年末12月の月課題に細字がありました。生徒様のKさんから1枚しか書いていない書を提出するのは失礼なので、再提出が必要なら次週に持っていきます、と連絡をいただきました。

再度作品を拝見したところ、一枚に真剣に向き合う姿勢が感じられた作品でしたから、その旨返信しました。

 

量を沢山書くことではなく、一枚一枚、手本に肉迫し集中して書いた作品なら、それが作品に現れます。一枚に入魂したなら、あまり手本を見ず、間に合わない!と慌てて沢山書いた10枚とは比較にならないほど良いです。自分も臨書の姿勢について、師に、ある指摘を受けたことが心に強く残っていますが、沢山書いたり、作品を書き上げると習った気になりがちです。真摯に向き合ったかの質が大切なんですよね。

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臨書の時は、無我で習いますから、個が出てしまうと臨書の意味はなくなってしまいます。

 

できるだけ速く上達したい、とか資格を取得したいという目的の方が大きすぎる方より、当たり前のことなのかもしれませんが、純粋に楽しいと思うから自然に集中してしまう方が一番そこに近いと思います。

 

書道が好きで続けていたら、焦らなくても、上手に書かねば、と思わなくても、自分は好きだと感じて、手本を良く見て習っていたら、いつの間にか気がついたら飛躍的に上達していると思います。

 

道は高くどこまでも続いていますが。そんな道に出会えたのは宝ですよね。

 

私の師の書がそうであったように、私は、生徒様に古典に裏打ちされた上の魅力的な手本を創れるよう精進していくこと、

師の書と教えを伝承していくことが使命だと思っています。